ドローン活用に必要な操縦ライセンスについて

建設現場でドローンを活用する際、安全で適切な運用のためには、操縦ライセンスの取得が重要です。
ここでは、建設業界の皆様によくある疑問にお答えし、必要な操縦ライセンスについてご説明します。

ドローンを使った測量、点検、監督などの業務を効率化し、生産性を向上させるためには、適切な操縦技術安全運航のための知識が不可欠です。
しかし、ドローンの操縦ライセンスには、民間ライセンス国家ライセンスがあり、それぞれ取得要件や運航可能な範囲が異なるため、初めての方にはわかりにくいかもしれません。

このQ&Aでは、建設現場でドローンを飛行させるために必要な操縦ライセンスについて詳しく解説します。

操縦ライセンスについて

Q1.ドローンの操縦に資格は必要?資格なしでも飛ばせる場合は?

A1: ドローンの操縦には、状況に応じて資格が必要になる場合があります。

屋内での飛行や、屋外での飛行でも特定飛行にに該当しない場合は、操縦資格がなくても自由に飛行することができます。

カテゴリーⅢの特定飛行には「一等無人航空機技能者証明」が必要です。
カテゴリーⅡの特定飛行では、原則として10時間以上の飛行経歴があれば操縦資格がなくても可能ですが、一部の特定飛行については「二等無人航空機技能者証明」以上の資格を有し、「第二種機体認証」以上のドローンを使用することで、飛行許可や飛行承認が不要となるメリットがあります。

特定飛行のカテゴリー区分必要な操縦資格等
       カテゴリーⅢ
「立入管理措置」を講じないで、第三者上空を飛行する特定飛行
「一等無人航空機操縦者技能証明が」必要
       カテゴリーⅡ
「立入管理措置」を講じたうえで、第三者上空を飛行しない特定飛行
操縦資格がなくても「原則10時間以上の飛行経歴」が必要
カテゴリーⅡの一部の特定飛行については、国家ライセンスである「二等無人航空機操縦者技能証明」以上を取得し、「第二種機体認証」以上のドローンを使用することで、飛行許可や飛行承認が不要となるメリットがあります。
カテゴリーⅠ
特定飛行に該当しない
特になし

10時間以上の飛行経歴を証明する方法としては、以下の方法があります。

  • 航空局ホームページに掲載されている民間の講習団体等(ドローンスクール)を受講し、講習修了者に交付される資格証明書(民間ライセンス)で証明(2025年12月まで有効)する方法。
  • 飛行許可等の必要のない場所で自らドローンの飛行練習を行い、その都度、フライトログ(飛行記録)を作成し、累積の飛行時間が10時間以上として申告する方法。
  • 資格なしで飛行できる場合であっても、100g以上のドローンを屋外で飛行させる場合は、事前に機体登録が必要です。
  • また、航空法以外の法律や私有地への立ち入りにも十分注意が必要です。

以上のように、ドローンの飛行には状況に応じて操縦資格が必要となります。
特に特定飛行を行う場合は、飛行経歴の証明や国家ライセンスの取得が求められるため、十分な準備と理解が必要です。
ドローンを飛行させる際は、自分の飛行が特定飛行に該当するかどうかを確認し、必要な資格の取得や手続きを行うことが重要です。

Q2.操縦ライセンスの種類と違いは?

A2:操縦資格には、民間ライセンスと国家ライセンスの2種類があり、それぞれに違いもあります。

航空局ホームページに掲載されている民間の講習団体等(ドローンスクール)が発行する資格証明書のことです。主なものとしては、以下のようなものがあります。

  • DJI認定資格(DJIドローンの操縦に特化した資格)
  • JUIDA認定資格(一般社団法人日本UAS産業振興協議会が発行する資格)
  • DPA認定資格(一般社団法人ドローン操縦士協会が発行する資格)

これらの民間ライセンスは、国土交通省の飛行許可・承認申請の際に、10時間以上の飛行経歴を証明 (2025年12月まで有効)するために利用できます。ただし、法的な強制力はありません。

国土交通省が発行する「無人航空機操縦者技能証明」のことを指します。この資格には、以下の2種類があります。

一等無人航空機操縦者技能証明
  • カテゴリーⅢ(立入管理措置なしで第三者上空を飛行)の特定飛行に必要な資格です。
  • 16歳以上の人が取得できます。
二等無人航空機操縦者技能証明
  • カテゴリーⅡ(立入管理措置ありで第三者上空を飛行しない)の一部の特定飛行で、飛行許可・承認を不要にするために必要な資格です。
  • 16歳以上の人が取得できます。

国家ライセンスは、学科試験、実地試験、身体検査に合格することで取得できます。
実際の試験では、航空法規や気象、ドローンの機体知識、飛行原理、安全運航のための知識と技能などが問われます。
ただし、これらの無人航空機操縦者技能証明には、初めて取得した時点で以下の3つの限定事項が付されています。

  • 昼間飛行の限定(日出から日没までの間のみ飛行可能)
  • 目視内飛行の限定(操縦者から目視できる範囲でのみ飛行可能)
  • 最大離陸重量25kg未満の機体の限定(25kg未満のドローンしか飛行できない)

これらの限定を解除するためには、それぞれの限定に対応した追加の実地試験に合格する必要があります。この限定を解除するための実地試験のことを「限定変更」と呼びます。

例えば、夜間飛行の限定を解除したい場合は、夜間の環境下で安全に飛行できる技能を実地試験で証明しなければなりません。

同様に、目視外飛行や25kg以上の機体の飛行を行うためには、それぞれの条件下で求められる高度な操縦技術と安全管理能力を実証する必要があります。

限定変更の実地試験に合格すると、技能証明書の限定事項が更新され、対応する飛行が可能になります。

このような限定変更の仕組みは、操縦者の技能レベルに合わせて段階的に資格を拡大していくことを可能にし、無人航空機の安全運航を確保するための重要な役割を果たしています。

操縦者は自己の技能レベルを向上させながら、徐々により高度な飛行にチャレンジしていくことができるのです。 ただし、限定変更の実地試験は、高度な操縦技術と安全管理能力が求められるため、十分な練習と準備が必要不可欠です。まずは自己の技能レベルを正しく把握し、着実にステップアップしていくことが大切です。

Q3.操縦ライセンス取得のメリットは?

A3:操縦資格を取得すると、さまざまなメリットがあります。

  • ドローンの基本的な操作方法や安全運航のための知識を体系的に学べます。
  • 国土交通省の飛行許可・承認申請の際に、10時間以上の飛行経歴を証明(2025年12月まで有効)するために利用できます。
  • 国家ライセンスを取得する際に「経験者」として扱われ、受講時間の短縮や受講費用の軽減が受けられます。
  • ドローンを活用したビジネスを行う際に、顧客からの信頼を得やすくなります。
  • ドローンコミュニティでの交流が広がり、情報交換や協力関係を築きやすくなります。
  • カテゴリーⅢ(立入管理措置なしで第三者上空を飛行)の特定飛行を行うことができるようになります(一等無人航空機操縦者技能証明の場合)。
  • カテゴリーⅡ(立入管理措置ありで第三者上空を飛行しない)の一部の特定飛行で、飛行許可・承認が不要になります(二等無人航空機操縦者技能証明以上の場合)。
  • 高度な飛行技術と安全運航のための知識を習得できます。
  • ドローンを活用したビジネスを行う際に、顧客からの信頼を高めることができます。
  • 国家資格であるため、就職や転職の際にアピールポイントになります。
  • ドローンの操縦者としての自覚と責任感を持って飛行できるようになります。

操縦資格を取得することで、ドローンの安全運航に必要な知識と技能を身につけられるだけでなく、飛行の自由度が広がり、ビジネスチャンスも拡大します。

また、操縦者としての自覚と責任感を持つことで、ドローンの社会的な信頼性を高めることにも貢献できます。 ドローンを本格的に活用していきたい人は、目的や状況に応じて適切な操縦資格の取得を検討してみてください。

Q4.操縦ライセンスの取得方法と流れは?

A4:無人航空機の操縦ライセンスを取得するためには、以下のステップを順番に進めていく必要があります。

ここでは、登録講習機関を受講する場合と受講しない場合の流れをまとめています。

STEP
DIPS2.0アカウントの作成

まず、国土交通省の「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」でアカウントを作成します。
このアカウントは、技能証明の取得、機体登録、機体認証、飛行許可・承認申請、飛行計画通報、事故報告などに使用します。

STEP
技能証明申請者番号の取得

DIPS2.0にログインし、「技能証明申請者番号」を取得します。
この際、必要な個人情報や顔写真などを入力し、本人確認を行います。
本人確認は、マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどを使用します。

STEP
登録講習機関での講習受講(受講する場合のみ)

登録講習機関で学科講習と実地講習を受講し、修了審査に合格すると修了証明書が発行されます。
民間ライセンスを持っている場合は、受講時間の短縮や費用の軽減が認められることがあります。

STEP
指定試験機関でのアカウント登録

指定試験機関(日本海事協会)の「試験申込システム」にアカウント登録を行います。
この際、16歳未満や不正行為に関与した者は登録できません。

STEP
受験資格の確認

試験申込システムで受験資格の確認を行います。
指定試験機関による確認が完了すると、メールで通知されます。

STEP
学科試験の申込み

学科試験を申込み、開催日程や試験会場を選択します。
試験は通年開催されており、手数料は一等(一等技能証明)9,900円、二等(二等技能証明)8,800円です。

STEP
学科試験の受験

学科試験はCBT方式で実施され、一等は70問、二等は50問の問題が出題されます。
試験時間はそれぞれ75分、30分で、合格基準は一等が90%程度、二等が80%程度です。

STEP
講習修了証明書の提出(実地試験の免除申込み)

学科試験に合格した後、講習修了証明書を提出し、実地試験の免除を申込みます。
修了証明書の有効期間は1年間です。

STEP
実地試験の申込み

学科試験合格後に実地試験を申込みます。実地試験は、昼間、目視内、25kg未満の基本試験を含め、夜間飛行や目視外飛行などの限定変更の試験もあります。
試験手数料は一等(基本22,200円、限定変更20,800円)、二等(基本20,400円、限定変更19,800円)です。

STEP
実地試験の受験

実地試験では、机上試験、口述試験、実地試験が行われます。合格基準は一等が80点以上、二等が70点以上です。

STEP
身体検査の申込み及び受検

身体検査は、公的証明書や医療機関の診断書を提出するか、指定試験機関で受検します。
手数料は5,200円または19,900円で、基本的に有効期間は1年です。

STEP
試験合格証明書の発行

試験申込システムで試験合格証明書の発行を申込みます。
結果はメールで通知されます。

STEP
技能証明の申請

DIPS2.0で技能証明合格証明書番号などの情報を入力し、技能証明を申請します。
手数料は新規申請3,000円、再交付申請2,850円です。
さらに、一等の場合は、登録免許税として3,000円が必要です。

STEP
技能証明の発行

手数料や登録免許税の支払い、国の審査が完了すると、技能証明書が郵送されます。二等技能証明書は審査完了後10開庁日程度で到着します。

これで無人航空機の操縦ライセンスを取得するための流れが完了します。
オンライン手続きと講習・試験等をスケジュールに合わせて計画的に進めることが重要です。
各手続きや講習・試験の詳細については、国土交通省や指定試験機関のウェブサイトで最新情報を確認しましょう