
ドローンを飛行させるためには、航空法に基づく飛行許可や飛行承認の取得が必要となる場合があります。
しかし、具体的にどのような機体が対象となるのか、どのような飛行に許可が必要なのか、手続きの流れや必要書類は何か、など、初めての方にはわかりにくい点も多いのではないでしょうか。
ここでは、ドローンの運用に欠かせない飛行許可・承認の手続きについて、対象となる機体や飛行の種類、申請に必要な書類や手続きの流れ、注意点など、ドローンを飛行させる際に知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。以下の項目に沿って説明します。
- 1.屋外での飛行に必要な機体登録とは
- 2.飛行許可・承認が必要になる飛行とは
- 3.ドローンの飛行カテゴリーと必要な条件について
- 4.許可の種類と申請方法について
- 5.許可を取得するための要件
- 6.許可申請手続きの流れについて
- 7.飛行許可・承認申請書の提出時期
- 8.飛行許可・承認の有効期間
- 9.その他、気をつけなければならないこと
1.屋外での飛行に必要な機体登録とは
航空法では、規制対象となる100g以上のドローンを屋外で飛行させるためには、機体登録が必要です。
機体登録は所有者情報を管理し、事故や違法行為が発生した際の責任者を特定することを目的としています。
また、操縦者の法令順守意識を高める効果もあります。ドローンの健全な発展を促進するために、機体登録制度は欠かせないものです。
なお、航空法の規制対象となる無人航空機は、以下の条件を満たすものです。
| A | 「飛行機」「回転翼航空機」「滑空機」「飛行船」のいずれかに該当する機体であること |
| B | 構造上、人が乗ることができない機体であること |
| C | 遠隔操作または自動操縦で飛行可能な機体であること |
| D | 機体本体とバッテリーの合計重量が100g以上であること |
具体的には
ドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプターなどが該当します。



ただし、合計重量が100g未満の機体であっても、以下の場合には航空法第134条の3の規制を受け、国土交通大臣の許可または通報が必要となる場合があります。
| → | 空港等の周辺で飛行させる場合 |
| → | 高高度で飛行させる場合 |
これらの行為は、航空機の飛行に影響を及ぼす恐れがあるためです。
無人航空機を飛行させる際は、まず自分の機体が規制対象かどうかを確認しましょう。
2.飛行許可・承認が必要になる飛行とは
ドローンの飛行には、飛行する空域や飛行の方法に応じて飛行許可・承認が必要となる場合があります。
特に「特定飛行」と呼ばれるリスクが高い飛行形態に該当する場合は、これらの飛行許可・承認の取得が必要です。
ドローンを飛行させる際には、その飛行が特定飛行に該当するかどうかを確認することが重要です。
では、どのような場合が特定飛行に該当し飛行許可・承認が必要となるのか説明します。
ただし、一定の条件下においては不要となるケースもあります。
飛行許可や飛行承認が必要な場合
以下の条件に該当する場合は、他の航空機や人々へのリスクを軽減し、安全な飛行を確保するために、原則として飛行許可や飛行承認が必要です。
これらの飛行を「特定飛行」と呼びます。
- 空港等の周辺での飛行
- 人口集中地区(DID地区)の上空での飛行
- 地表又は水面から150m以上での飛行
- 緊急用務空域での飛行

- 夜間での飛行
- 目視外での飛行
- 人又は物件と距離を30m以上確保できない飛行
- 催し場所上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件の投下

| 特定飛行の区分 | 特定飛行の種類 | 必要な許可等 |
| 飛行空域 | 空港等の周辺での飛行 | 飛行許可 |
| 人口集中地区(DID地区)の上空での飛行 | ||
| 地表又は水面から150m以上での飛行 | ||
| 緊急用務空域での飛行 | ||
| 飛行方法 | 夜間での飛行 | 飛行承認 |
| 目視外での飛行 | ||
| 人又は物件と距離を30m以上確保できない飛行 | ||
| 催し場所上空での飛行 | ||
| 危険物の輸送 | ||
| 物件の投下 |
特定飛行であっても、飛行許可や飛行承認が不要な場合
カテゴリーⅡ(立入管理措置を講じた上で、第三者上空を飛行しない)の一部の特定飛行については、以下の条件を満たす場合には飛行許可・承認が不要となります。
| 使用する機体 | 第二種機体認証以上を取得し、最大離陸重量が25㎏未満である |
| 操縦者 | 二等無人航空機操縦者技能証明以上を取得している |
| 安全確保 | 飛行マニュアルの作成等、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じること |

| 特定飛行 | 許可等 |
| 人口集中地区(DID地区)の上空での飛行 | 許可・承認が不要 |
| 夜間飛行 | |
| 目視外飛行 | |
| 人又は物件から30m未満での飛行 |
これらの特定飛行は、機体の安全性と操縦者の技能が保証されているため、飛行リスクが低く、飛行許可等が不要となります。
十分な強度を有する紐等(30m以下)で係留し、ドローンを飛行させる場合
以下の飛行については、強度のある紐(30m以下)で係留することで飛行許可・承認が不要となります(最大離陸重量は問わない)。
| 係留飛行 | 許可等 |
| 人口集中地区(DID地区)の上空での飛行 | 許可・承認が不要 |
| 夜間飛行 | |
| 目視外飛行 | |
| 人又は物件から30m未満での飛行 | |
| 物件投下 |
ドローンを強度のある紐(30m以下)で係留することで、飛行範囲が制限され、飛行が安定し、他の航空機や地上の人々へのリスクが低くなるため、飛行許可等が不要となります。
3.ドローンの飛行カテゴリーと必要な条件について
ドローン飛行に必要な条件は、飛行に伴うリスクの程度によって異なります。航空法では、このリスクの度合いに応じて、飛行を以下の3つの飛行カテゴリー(グループ)に分類しています。
3つの飛行カテゴリー(グループ)
| カテゴリーⅠ (リスク低) | 特定飛行に該当しない、一般的な飛行 |
| カテゴリーⅡ (リスク中) | 立入管理措置を講じた上で、第三者上空を飛行しない特定飛行 |
| カテゴリーⅢ (リスク高) | 立入管理措置を講じずに、第三者上空を飛行する特定飛行 |
ドローンの飛行カテゴリー確認手順

- 該当しない場合は、カテゴリーⅠに分類され、手続き不要
- 該当する場合は、次のステップへ
| 特定飛行 | 特定飛行の種類 |
| 飛行空域 | 空港等周辺での飛行 |
| 人口集中地区(DID地区)の上空での飛行 | |
| 地表又は水面から150m以上での飛行 | |
| 緊急用務空域での飛行 | |
| 飛行方法 | 夜間飛行 |
| 目視外飛行 | |
| 第三者や第三者物件から30m未満での飛行 | |
| 催し場所上空での飛行 | |
| 危険物の輸送 | |
| 物件投下 |
- 立入管理措置を講じない飛行は、カテゴリーⅢに分類
- 立入管理措置を講じる飛行は、カテゴリーⅡに分類
| カテゴリーⅠ | 手続き不要 |
| カテゴリーⅡ | 状況に応じて飛行許可または飛行承認が必要。ただし、一定の条件を満たせば、カテゴリーⅡの一部の許可・承認が不要となります。 |
| カテゴリーⅢ | 飛行許可または飛行承認が必要 |
各カテゴリーごとの条件と、飛行許可・承認の要否
カテゴリーⅠ (リスク低)
リスクの低いカテゴリーⅠは、特定飛行に該当しない飛行空域や飛行方法による一般的な飛行です。
このような飛行では、第三者への影響が限定的であるため、リスクが低いと考えられています。そのため、飛行許可や承認は不要です。
カテゴリーⅡ (リスク中)
リスクが中程度のカテゴリーⅡは、立入管理措置を講じた上で第三者上空を飛行しない特定飛行です。
特定飛行に該当する飛行空域や飛行方法でも、立入管理措置により第三者の立ち入りを制限することでリスクを抑えられます。
基本的には、一定の条件を満たした上で飛行許可や承認が必要となります。
しかし、カテゴリーⅡの一部の飛行では、以下の全ての条件を満たすことで、最大離陸重量が25kg未満のドローンに限り、飛行許可や承認が不要となります。
| 使用する機体 | 第二種機体認証以上を取得し、最大離陸重量が25㎏未満である |
| 操縦者 | 二等無人航空機操縦者技能証明以上を取得している |
| 安全確保 | 飛行マニュアルの作成等、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じること |
カテゴリーⅢ (リスク高)
リスクの高いカテゴリーⅢは、立入管理措置を講じずに第三者上空を飛行する特定飛行です。
これは、人の頭上での飛行や目視外飛行など、第三者への影響が非常に大きい飛行が該当します。
このような飛行では、万が一の事故の際の被害が甚大となる可能性があるため、リスクが高いと考えられています。そのため、操縦者の高度な技能を確認する一等無人航空機操縦者技能証明や、機体の安全性を確保するための第一種機体認証など、厳しい条件を満たした上で飛行許可や承認が必要です。
| カテゴリー | 条件内容 | 飛行許可・承認 |
| カテゴリーⅠ (リスク低) | なし | 不要 |
| カテゴリーⅡ (リスク中) | ・10時間以上の飛行経歴がある(操縦者) | 必要 |
| ・二等無人航空機操縦者技能証明以上を取得している(操縦者) ・第二種機体認証以上を取得していること(機体) ・飛行マニュアルの作成等、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じていること ※上記のすべての条件を満たしていること | 不要 ただし、最大離陸重量が25㎏未満の一部の特定飛行 | |
| カテゴリーⅢ (リスク高) | ・操縦者が一等無人航空機操縦者技能証明を取得していること ・機体が第一種機体認証以上を取得していること ※上記のすべての条件を満たしていること | 必要 |
自分の飛行がどのカテゴリーに該当するか確認し、必要な条件と手続きを整えることが重要です。
4.許可の種類と申請方法について
ドローンを飛行させる際には、飛行空域や飛行方法、飛行目的によって必要な許可や承認が異なります。大きく分けて、「飛行許可」と「飛行承認」の2種類があります。
許可の種類
航空法では、特定飛行の空域で飛行を行う場合は「飛行許可」が必要であり、特定飛行の飛行方法での飛行を行う場合は「飛行承認」の手続きが必要です。
| 許可の種類 | 特定飛行の区分 | 特定飛行の種類 |
| 飛行許可 | 飛行空域 | 空港等の周辺での飛行 |
| 人口集中地区(DID地区)の上空での飛行 | ||
| 地表又は水面から150m以上での飛行 | ||
| 緊急用務空域での飛行 | ||
| 飛行承認 | 飛行方法 | 夜間での飛行 |
| 目視外での飛行 | ||
| 人又は物件と距離を30m以上確保できない飛行 | ||
| 催し場所上空での飛行 | ||
| 危険物の輸送 | ||
| 物件の投下 |
申請方法
許可や承認を得るための申請には、「個別申請」と「包括申請」の2種類があります。
| 申請方法 | 特色とメリット |
| 個別申請 |
|
| 包括申請 |
|
| 期間包括申請 | 最長1年間、同じ場所で繰り返し飛行する場合に適しています。 |
| 飛行経路包括申請 | 複数の場所での飛行や、ある程度の範囲内での飛行に適しています。 |
以下の飛行は「包括申請」で承認を得ていても、「個別申請」の手続きが必要となります。
| 個別申請が必要な飛行 | 特定しなければならない事項 |
| 空港等周辺における飛行 | 飛行経路の特定 (飛行マニュアルで経路の特定をしている場合を除く) |
| 地表又は水面から150m以上での飛行 | |
| 人口集中地区(DID地区)の上空での夜間飛行 | |
| 補助者を配置しない目視外飛行 | |
| 夜間の目視外飛行 | |
| 趣味目的での飛行 | |
| 研究開発目的での飛行 | |
| 人口集中地区(DID地区)の上空での夜間における目視外飛行 | 許可期間・飛行経路の特定 |
| 催し場所の上空における飛行 |
包括申請は、広範囲で長期間の飛行許可・承認が得られるメリットがある一方、飛行条件に制限がかかる場合があります。個別申請は特定の飛行に限定されますが、その分、より難易度の高い飛行が可能となります。
ドローンを飛行させる際は、飛行目的や場所、期間などを考慮して適切な申請方法を選択することが重要です。また、包括申請で承認を得ている場合でも、特定の条件下では個別申請が必要となることに注意しましょう。
5.許可を取得するための要件
ドローンの飛行許可や飛行承認を申請する際には、主に以下の3つの審査基準(ドローンの機能と性能、操縦者の飛行経歴、安全を確保する体制)と飛行形態に合わせた追加基準を満たす必要があります。
| 審査基準 | 内 容 |
| 1. ドローンの機能と性能 |
|
| 2. 操縦者の飛行経歴等 |
|
| 3. 安全を確保する体制 |
|
| ※ 追加基準 |
|
ドローンを安全に飛行させるためには、飛行前後の点検方法や飛行時の遵守事項、緊急時の対応手順などを詳細に定めた飛行マニュアルを作成し、それを遵守することが求められます。
多くの場合、国土交通省航空局が提供する「航空局標準マニュアル」に団体名称を記載することで、そのまま飛行許可や飛行承認申請の際に使用していますが、雨天時や風速5m/s以上の条件下で飛行を行う場合などは、それらの条件に対応した独自の飛行マニュアルを作成するか、標準マニュアルを一部修正する必要があります。
6.許可申請手続きの流れについて
ドローンを飛行させるためには、機体の登録から飛行許可等の取得、飛行の実施、事故報告に至るまで、一連の手続きが必要となります。
これらの手続きは、ドローンの飛行に伴うリスクの程度に応じて設定された3つのカテゴリー(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)ごとに異なります。
また、飛行許可や飛行承認を得るための申請手続きには、一定の流れがあり、必要な書類も定められていますが、ここでは、以下の3つの観点から、許可申請手続きの流れについて詳しく説明します。
- カテゴリー別の手続きの流れ
- 飛行許可・飛行承認申請の流れ
- 飛行許可・飛行承認申請に必要な書類
それぞれの観点について、図表を用いて視覚的にわかりやすく解説するとともに、注意点やポイントについても触れていきます。
1.カテゴリー別の手続きの流れ
ドローンを飛行させるには、そのリスクに応じて設定された3つのカテゴリー(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)ごとに、異なる手続きが必要です。
ここでは、機体購入から機体登録、機体認証、技能証明の取得、飛行許可及び承認の申請、飛行計画、飛行の実施、飛行日誌の記載、事故報告までの流れを、各カテゴリー別に図式化してご説明します。
| カテゴリーⅢ | カテゴリーⅡ | カテゴリーⅠ | ||
| ・目視外飛行 ・夜間飛行 ・DID上空 ・第三者30m未満 | ・イベント上空 ・危険物輸送 ・物件投下 ・25kg以上 ・空港周辺 ・150m以上上空 | ・目視外飛行 ・夜間飛行 ・DID上空 ・第三者30m未満 | ・その他 |
| 1.機体の購入 | ||||
| ↓ | ||||
| 2.機体登録の申請 | ||||
| ↓ | ||||
| 3.登録記号の発行 | ||||
| ↓ | ||||
| 4.機体への登録記号の表示およびリモートIDの搭載 | ||||
| ↓ | ||||
| 5.第一種機体認証 の取得 | 必須ではない | 5.第二種機体認証 以上の取得 | 不要 | |
| 5.一等操縦技能証明 の取得 | 5.二等操縦技能証明 以上の取得 | |||
| ↓ | ||||
| 6.飛行許可・承認の申請 | 不要 ※カテゴリーⅡは安全な 運行管理体制を満たしていること (安全確保措置) | |||
| ↓ | ||||
| 7.飛行許可・承認の発行 | ||||
| ↓ | ||||
| 8.飛行計画の通報(※カテゴリーⅠは推奨手続) | ||||
| ↓ | ||||
| 9.飛行の実施 | ||||
| ↓ | ||||
| 10.飛行を実施した場合は飛行日誌の記載(※カテゴリーⅠは推奨手続) | ||||
| ↓ | ||||
| 11.事故等の報告 | ||||
ドローンを飛行させるための第一歩は機体の購入です。適切なドローンを選定し、購入します。
購入後、ドローンを飛行させる前に機体登録が必要です。国土交通省に登録申請を行い、機体の情報を届け出ます。
機体登録が完了すると、登録記号が発行されます。この記号はドローンの識別に必要です。
発行された登録記号をドローンの機体に表示し、リモートIDを搭載します。リモートIDは、飛行中のドローンの位置情報を伝えるために必要です。
カテゴリー別に必要な認証と証明を取得します。
| カテゴリーⅢ | 第一種機体認証と一等操縦技能証明が必須 |
| カテゴリーⅡ | 第二種機体認証以上と二等操縦技能証明以上の取得で飛行許可・承認が不要な場合あり |
| カテゴリーⅠ | 機体認証と操縦技能証明の取得は不要 |
必要に応じて、飛行許可や承認を申請します。カテゴリーⅢと一部のカテゴリーⅡの飛行には必須です。
申請が承認されると、飛行許可または承認が発行されます。
飛行計画を関係機関に通報します。カテゴリーⅠの場合は推奨手続きですが、カテゴリーⅡとⅢでは必須です。
許可を得た飛行計画に基づき、ドローンの飛行を実施します。ただし、他の法律や規制に抵触しないこと。
飛行後は飛行日誌に詳細を記載します。カテゴリーⅠでは推奨手続きですが、カテゴリーⅡとⅢでは必須です。
もし飛行中に事故が発生した場合、速やかに航空局へ報告します。事故報告は全てのカテゴリーで必須です。
このように、ドローンを飛行させるためには、機体の購入から事故報告まで一連の手続きを順守する必要があります。カテゴリーごとの違いを理解し、適切な手続きを行いましょう。
2.飛行許可・飛行承認申請の流れ
次に、ドローンの飛行許可・飛行承認申請の流れについて各ステップによりご説明します。
(※ 飛行許可や承認の申請は,オンライン又は書面(郵送)で行うことができますが,原則,オンラインでの申請とされていますので,オンラインの申請を前提にご説明いたします。)
| 申請の流れ | 内 容 |
| STEP 1: DIPS2.0へのログイン | <初めての利用>
|
| STEP 2: 飛行許可・承認申請書の作成・提出 |
|
| STEP 3: 許可書の発行・確認 |
|
| STEP 4: 飛行の実施と必要な対応 |
|
不明な点がある場合は、「無人航空機ヘルプデスク」(電話番号:050-3818-9961、平日9時00分〜17時00分(土日・祝・年末年始を除く))に問い合わせください。
3.飛行許可及び飛行承認申請に必要な書類
ドローンの飛行許可や飛行承認を申請する際には、ドローンの安全性や操縦者の技能、飛行計画の妥当性などを評価するための様々な書類の提出が求められます。 申請に必要な書類は、飛行の内容や形態によって異なる場合がありますが、基本的には以下の10種類の書類を準備する必要があります。
| 1. | 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書 | 申請の基本情報を記載した書類です。 |
| 2. | 無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書 | ドローンの機能や性能が国の定める基準に適合していることを確認する書類です。 |
| 3. | 無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書 | 操縦者の飛行経験や知識、技能を証明する書類です。(場合によっては省略可能です。) |
| 4. | 飛行経路の地図 | ドローンを飛行させる経路を示した地図です。 |
| 5. | 無人航空機及び操縦装置の使用が分かる設計図又は多方面の写真 | ドローンと操縦装置の設計や構造を示す図面や写真です。(場合によっては省略可能です。) |
| 6. | 無人航空機の運用限界及び無人航空機を飛行させる方法が記載された取扱説明書等の該当部分の写し | ドローンの運用限界や操作方法を示した取扱説明書の関連部分のコピーです。(場合によっては省略可能です。) |
| 7. | 無人航空機の追加基準への適合性 | 飛行形態に応じた追加の安全基準に適合していることを示す書類です。 |
| 8. | 無人航空機を飛行させる者一覧 | ドローンを操縦する全ての人の氏名や連絡先を記載した一覧表です。 |
| 9. | 申請事項に応じた飛行させる者の追加基準への適合性を示した資料 | 操縦者が飛行形態に応じた追加の基準に適合していることを示す資料です。(場合によっては省略可能です。) |
| 10. | 飛行マニュアル | ドローンを安全に飛行させるための手順や注意事項を定めたマニュアルです。(場合によっては省略可能です。) |
これらの書類を漏れなく準備し、適切に記載することが重要です。
不明な点がある場合は、申請先の国土交通省航空局や地方航空局等に確認することをおすすめします。
7.飛行許可・承認申請書の提出時期
ドローンの飛行許可や承認の申請は、飛行開始予定日よりも十分余裕をもって行うことが重要です。国土交通省の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」によれば、申請書の提出時期は以下のように定められています。
| カテゴリーⅡ飛行の申請書 | 飛行開始予定日の10開庁日前(土日・祝日を除く)まで |
| カテゴリーⅢ飛行の申請書 | 飛行開始予定日の20開庁日前(土日・祝日を除く)まで |
国土交通省のホームページ上では、申請内容に不備があった場合には追加確認に時間を要し、飛行予定日までに許可・承認が得られないこともあるため、「飛行開始予定日から3~4週間程度、十分な余裕をもって申請を頂きますようお願いします」と記載されています。
さらに、初めて申請する場合は、上記の日程以外にも機体登録に要する日数(オンライン申請で2~10開庁日程度)が必要となります。
したがって、特に初めての申請の場合は、飛行開始予定日の1か月前程度を目安に、十分余裕をもって申請手続きを開始することをおすすめします。これにより、万が一申請内容に不備があった場合でも、修正や追加提出の時間的猶予を確保できます。
また、申請内容が複雑な場合や、繁忙期などは審査に通常よりも時間がかかる可能性があるため、できる限り早めに申請を行うことが賢明です。
円滑にドローンを飛行させるためには、必要な手続きを適切なタイミングで行うことが不可欠です。飛行開始予定日から逆算して、余裕をもった申請スケジュールを立てるようにしましょう。
8.飛行許可・承認の有効期間
飛行許可や承認の有効期間は、申請の種類によって異なります。
| 包括申請の場合 |
|
| 個別申請の場合 |
|
飛行許可や承認の有効期間は、申請内容や目的に応じて適切に設定することが重要です。有効期間内であっても、飛行の条件や状況に変更があった場合は、改めて変更申請を行う必要があります。ドローンを飛行させる際には、飛行許可や承認の有効期間と機体登録の有効期間の両方を確認し、必要に応じて更新手続きを行うことが求められます。
機体登録の有効期間
注意すべき点として、機体登録の有効期間は飛行許可や承認の有効期間とは異なることがあります。機体登録の有効期間は、登録記号が発行された日から3年間です。
たとえ飛行許可や承認の有効期間内であっても、機体登録の有効期間が切れてしまうと、ドローンを飛行させることはできません。したがって、機体登録の有効期限にも十分な注意が必要です。
包括申請と個別申請の使い分け
包括申請と個別申請の使い分けや、それぞれの有効期間については十分理解しておく必要があります。包括申請は長期的かつ広範囲での飛行に適していますが、飛行条件に制限がかかる場合があります。
一方、個別申請は特定の飛行に限定されますが、より難易度の高い飛行が可能となります。
飛行目的や場所、期間などを考慮して適切な申請方法を選択し、有効期間内に飛行を行うことが重要です。
また、機体登録の有効期限にも注意を払い、必要に応じて更新手続きを行いましょう。
9.その他、気をつけなければならないこと
ドローンを飛行させる際は、航空法に基づく飛行許可や承認の取得以外にも、様々な法令や条例等に注意を払う必要があります。以下は、主な注意点です。
航空法以外の主な規制
| 小型無人機等飛行禁止法 (警察庁) |
|
| ドローン等に求められる無線設備 (総務省) |
|
| ドローンによる映像撮影等のインターネット上での取り扱い(総務省) |
|
| 無人航空機の飛行を制限する条例等 |
|

その他の注意点
- 道路交通法:公道でドローンを離発着させると道路交通法違反となります。公道上での離発着には道路使用許可が必要です。
- FPV(ファースト・パーソン・ビュー)飛行を行う場合は、アマチュア無線4級以上の資格取得と無線局の開設申請が必要です。
- FPVとは、ドローンに搭載されたカメラの映像を操縦者がリアルタイムで見ながら飛行させる操縦方法のことを指します。
これらの規制の対象となる機体は、航空法上の「無人航空機」とは定義が異なる場合があるため注意が必要です。
ドローンを飛行させる際は、航空法だけでなく、これらの関連法令や条例等についても十分に理解し、必要な手続きを行うことが重要です。
不明な点がある場合は、各法令や条例等の所管省庁や地方公共団体に問い合わせることをおすすめします。
事前の確認と準備を怠らず、安全と法令遵守を心がけることが、ドローンを適切に運用するために不可欠です。
