飛行許可及び飛行承認の具体的な手続きとは?

ドローンを飛行させるためには、航空法に基づく飛行許可飛行承認の取得が必要となる場合があります。

しかし、具体的にどのような機体が対象となるのか、どのような飛行に許可が必要なのか、手続きの流れや必要書類は何か、など、初めての方にはわかりにくい点も多いのではないでしょうか。

ここでは、ドローンの運用に欠かせない飛行許可・承認の手続きについて、対象となる機体飛行の種類申請に必要な書類手続きの流れ注意点など、ドローンを飛行させる際に知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。以下の項目に沿って説明します。

航空法では、規制対象となる100g以上のドローンを屋外で飛行させるためには、機体登録が必要です。
機体登録は所有者情報を管理し、事故や違法行為が発生した際の責任者を特定することを目的としています。
また、操縦者の法令順守意識を高める効果もあります。ドローンの健全な発展を促進するために、機体登録制度は欠かせないものです。
なお、航空法の規制対象となる無人航空機は、以下の条件を満たすものです。

A「飛行機」「回転翼航空機」「滑空機」「飛行船」のいずれかに該当する機体であること
B構造上、人が乗ることができない機体であること
C遠隔操作または自動操縦で飛行可能な機体であること
D機体本体とバッテリーの合計重量が100g以上であること

具体的には
ドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプターなどが該当します。

ただし、合計重量が100g未満の機体であっても、以下の場合には航空法第134条の3の規制を受け、国土交通大臣の許可または通報が必要となる場合があります。

空港等の周辺で飛行させる場合
高高度で飛行させる場合

これらの行為は、航空機の飛行に影響を及ぼす恐れがあるためです。
無人航空機を飛行させる際は、まず自分の機体が規制対象かどうかを確認しましょう。

ドローンの飛行には、飛行する空域や飛行の方法に応じて飛行許可・承認が必要となる場合があります。
特に「特定飛行」と呼ばれるリスクが高い飛行形態に該当する場合は、これらの飛行許可・承認の取得が必要です。
ドローンを飛行させる際には、その飛行が特定飛行に該当するかどうかを確認することが重要です。
では、どのような場合が特定飛行に該当し飛行許可・承認が必要となるのか説明します。
ただし、一定の条件下においては不要となるケースもあります。

以下の条件に該当する場合は、他の航空機や人々へのリスクを軽減し、安全な飛行を確保するために、原則として飛行許可や飛行承認が必要です。
これらの飛行を「特定飛行」と呼びます。

  • 空港等の周辺での飛行
  • 人口集中地区(DID地区)の上空での飛行
  • 地表又は水面から150m以上での飛行
  • 緊急用務空域での飛行
(注)当該図は,国土交通省のホームページから引用
  • 夜間での飛行
  • 目視外での飛行
  • 人又は物件と距離を30m以上確保できない飛行
  • 催し場所上空での飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件の投下
(注)当該図は,国土交通省のホームページから引用
特定飛行の区分特定飛行の種類必要な許可等
飛行空域空港等の周辺での飛行飛行許可
人口集中地区(DID地区)の上空での飛行
地表又は水面から150m以上での飛行
緊急用務空域での飛行
飛行方法夜間での飛行飛行承認
目視外での飛行
人又は物件と距離を30m以上確保できない飛行
催し場所上空での飛行
危険物の輸送
物件の投下

カテゴリーⅡ(立入管理措置を講じた上で、第三者上空を飛行しない)の一部の特定飛行については、以下の条件を満たす場合には飛行許可・承認が不要となります。

使用する機体第二種機体認証以上を取得し、最大離陸重量が25㎏未満である
操縦者二等無人航空機操縦者技能証明以上を取得している
安全確保飛行マニュアルの作成等、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じること
特定飛行許可等
人口集中地区(DID地区)の上空での飛行許可・承認が不要
夜間飛行
目視外飛行
人又は物件から30m未満での飛行

これらの特定飛行は、機体の安全性と操縦者の技能が保証されているため、飛行リスクが低く、飛行許可等が不要となります。

以下の飛行については、強度のある紐(30m以下)で係留することで飛行許可・承認が不要となります(最大離陸重量は問わない)。

係留飛行許可等
人口集中地区(DID地区)の上空での飛行許可・承認が不要
夜間飛行
目視外飛行
人又は物件から30m未満での飛行
物件投下

ドローンを強度のある紐(30m以下)で係留することで、飛行範囲が制限され、飛行が安定し、他の航空機や地上の人々へのリスクが低くなるため、飛行許可等が不要となります。

ドローン飛行に必要な条件は、飛行に伴うリスクの程度によって異なります。航空法では、このリスクの度合いに応じて、飛行を以下の3つの飛行カテゴリー(グループ)に分類しています。

カテゴリーⅠ
(リスク低)
特定飛行に該当しない、一般的な飛行
カテゴリーⅡ
(リスク中)
立入管理措置を講じた上で、第三者上空を飛行しない特定飛行
カテゴリーⅢ
(リスク高)
立入管理措置を講じずに、第三者上空を飛行する特定飛行
(注)立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者(無人航空機を飛行させる者及び補助者以外の者)の立入りを制限することです。
(注)当該図は,国土交通省のホームページから引用
STEP
特定飛行に該当するか確認
  • 該当しない場合は、カテゴリーⅠに分類され、手続き不要
  • 該当する場合は、次のステップへ
特定飛行特定飛行の種類
飛行空域空港等周辺での飛行
人口集中地区(DID地区)の上空での飛行
地表又は水面から150m以上での飛行
緊急用務空域での飛行
飛行方法夜間飛行
目視外飛行
第三者や第三者物件から30m未満での飛行
催し場所上空での飛行
危険物の輸送
物件投下
STEP
立入管理措置の有無を確認
  • 立入管理措置を講じない飛行は、カテゴリーⅢに分類
  • 立入管理措置を講じる飛行は、カテゴリーⅡに分類
STEP
該当するカテゴリーに応じた手続きを実施
カテゴリーⅠ手続き不要
カテゴリーⅡ状況に応じて飛行許可または飛行承認が必要。ただし、一定の条件を満たせば、カテゴリーⅡの一部の許可・承認が不要となります。
カテゴリーⅢ飛行許可または飛行承認が必要

カテゴリーⅠ (リスク低)

リスクの低いカテゴリーⅠは、特定飛行に該当しない飛行空域や飛行方法による一般的な飛行です。
このような飛行では、第三者への影響が限定的であるため、リスクが低いと考えられています。そのため、飛行許可や承認は不要です。

カテゴリーⅡ (リスク中)

リスクが中程度のカテゴリーⅡは、立入管理措置を講じた上で第三者上空を飛行しない特定飛行です。
特定飛行に該当する飛行空域や飛行方法でも、立入管理措置により第三者の立ち入りを制限することでリスクを抑えられます。
基本的には、一定の条件を満たした上で飛行許可や承認が必要となります。
しかし、カテゴリーⅡの一部の飛行では、以下の全ての条件を満たすことで、最大離陸重量が25kg未満のドローンに限り、飛行許可や承認が不要となります。

使用する機体第二種機体認証以上を取得し、最大離陸重量が25㎏未満である
操縦者二等無人航空機操縦者技能証明以上を取得している
安全確保飛行マニュアルの作成等、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じること

カテゴリーⅢ (リスク高)

リスクの高いカテゴリーⅢは、立入管理措置を講じずに第三者上空を飛行する特定飛行です。
これは、人の頭上での飛行や目視外飛行など、第三者への影響が非常に大きい飛行が該当します。
このような飛行では、万が一の事故の際の被害が甚大となる可能性があるため、リスクが高いと考えられています。そのため、操縦者の高度な技能を確認する一等無人航空機操縦者技能証明や、機体の安全性を確保するための第一種機体認証など、厳しい条件を満たした上で飛行許可や承認が必要です。

カテゴリー条件内容飛行許可・承認
カテゴリーⅠ
(リスク低)
なし不要
カテゴリーⅡ
(リスク中)
・10時間以上の飛行経歴がある(操縦者)必要
・二等無人航空機操縦者技能証明以上を取得している(操縦者)
・第二種機体認証以上を取得していること(機体)
・飛行マニュアルの作成等、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じていること
※上記のすべての条件を満たしていること
     不要
ただし、最大離陸重量が25㎏未満の一部の特定飛行
カテゴリーⅢ
(リスク高)
・操縦者が一等無人航空機操縦者技能証明を取得していること
・機体が第一種機体認証以上を取得していること
※上記のすべての条件を満たしていること
必要

自分の飛行がどのカテゴリーに該当するか確認し、必要な条件と手続きを整えることが重要です。

4.許可の種類と申請方法について

ドローンを飛行させる際には、飛行空域や飛行方法、飛行目的によって必要な許可や承認が異なります。大きく分けて、「飛行許可」と「飛行承認」の2種類があります。

航空法では、特定飛行の空域で飛行を行う場合は「飛行許可」が必要であり、特定飛行の飛行方法での飛行を行う場合は「飛行承認」の手続きが必要です。

許可の種類特定飛行の区分特定飛行の種類
飛行許可飛行空域空港等の周辺での飛行
人口集中地区(DID地区)の上空での飛行
地表又は水面から150m以上での飛行
緊急用務空域での飛行
飛行承認飛行方法夜間での飛行
目視外での飛行
人又は物件と距離を30m以上確保できない飛行
催し場所上空での飛行
危険物の輸送
物件の投下

許可や承認を得るための申請には、「個別申請」と「包括申請」の2種類があります。

申請方法特色とメリット
個別申請
  • 特定の日時、期間、または飛行経路における飛行に対して行う申請。
  • その都度申請が必要。
包括申請
  • 一定期間内に繰り返し飛行する場合や、複数の場所で飛行する場合に適した申請。
  • 許可期間は最長1年、飛行範囲は日本全国とすることが可能。
  • 1度の申請で必要な許可や承認を得られる。
  • ただし、飛行目的やシチュエーションによっては制限がかかる場合がある。
  • 飛行のたびに申請する手間や費用を削減できる。
  • 天候などによる急なスケジュール変更にも対応可能。

包括申請にはさらに、「期間包括申請」と「飛行経路包括申請」の2種類があります。

期間包括申請最長1年間、同じ場所で繰り返し飛行する場合に適しています。
飛行経路包括申請複数の場所での飛行や、ある程度の範囲内での飛行に適しています。

個別(許可期間や飛行経路を特定した)申請が必要な場合

以下の飛行は「包括申請」で承認を得ていても、「個別申請」の手続きが必要となります。

個別申請が必要な飛行特定しなければならない事項
空港等周辺における飛行飛行経路の特定
(飛行マニュアルで経路の特定をしている場合を除く)
地表又は水面から150m以上での飛行
人口集中地区(DID地区)の上空での夜間飛行
補助者を配置しない目視外飛行
夜間の目視外飛行
趣味目的での飛行
研究開発目的での飛行
人口集中地区(DID地区)の上空での夜間における目視外飛行許可期間・飛行経路の特定
催し場所の上空における飛行

包括申請は、広範囲で長期間の飛行許可・承認が得られるメリットがある一方、飛行条件に制限がかかる場合があります。個別申請は特定の飛行に限定されますが、その分、より難易度の高い飛行が可能となります。

ドローンを飛行させる際は、飛行目的や場所、期間などを考慮して適切な申請方法を選択することが重要です。また、包括申請で承認を得ている場合でも、特定の条件下では個別申請が必要となることに注意しましょう。

5.許可を取得するための要件

ドローンの飛行許可や飛行承認を申請する際には、主に以下の3つの審査基準(ドローンの機能と性能、操縦者の飛行経歴、安全を確保する体制)と飛行形態に合わせた追加基準を満たす必要があります。

審査基準内 容
1. ドローンの機能と性能
  • ドローンの強度構造性能が国の安全基準に適合していること。
  • 国土交通省のホームページに掲載されている「資料の一部を省略することができる無人航空機」に該当する場合、申請時に機体資料の一部を省略可能(令和7年12月までの措置)。
  • カテゴリーⅢの特定飛行には「第一種機体認証」を受けたドローンが必要。
  • カテゴリーⅡの一部の特定飛行では、「第二種機体認証」以上のドローンと「二等無人航空機操縦技能証明」以上の取得で許可・承認が不要。
2.  操縦者の飛行経歴等
  • 無人航空機の種類ごとに10時間以上の飛行経歴が必要。
  • 飛行経歴は民間ライセンス(ドローンスクール修了証等)や国家ライセンス(無人航空機操縦者技能証明)で証明するのが一般的。※なお,民間ライセンスでの証明は、令和7年12月までの措置です。
  • 自主練習のフライトログ(飛行記録)で10時間以上の飛行時間を申告する方法もあり。
  • 一部例外あり(自動操縦機能を有するドローンや監督下での飛行など)。
  • カテゴリーⅢの特定飛行には「一等無人航空機操縦技能証明」が必要
  • カテゴリーⅡの一部の特定飛行では、「二等無人航空機操縦技能証明」以上の取得と「第二種機体認証」以上のドローンで許可・承認が不要
3. 安全を確保する体制
  • 飛行マニュアルに飛行前後の点検方法や飛行時の遵守事項などを定め、申請時に提出する必要あり。
  • 国土交通省の「航空局標準マニュアル」をそのまま使用可能だが、実際の飛行内容に合わせて独自のマニュアルを作成・変更することが推奨されます。
※ 追加基準
  • 上記の3つの審査基準以外にも、飛行形態に応じた追加基準あり。
  • 例えば、人口集中地区(DID地区)でのプロペラガードの装備等が必要 など。

航空局標準マニュアルについて

ドローンを安全に飛行させるためには、飛行前後の点検方法や飛行時の遵守事項、緊急時の対応手順などを詳細に定めた飛行マニュアルを作成し、それを遵守することが求められます。
多くの場合、国土交通省航空局が提供する「航空局標準マニュアル」に団体名称を記載することで、そのまま飛行許可や飛行承認申請の際に使用していますが、雨天時や風速5m/s以上の条件下で飛行を行う場合などは、それらの条件に対応した独自の飛行マニュアルを作成するか、標準マニュアルを一部修正する必要があります。

6.許可申請手続きの流れについて

ドローンを飛行させるためには、機体の登録から飛行許可等の取得飛行の実施事故報告に至るまで、一連の手続きが必要となります。
これらの手続きは、ドローンの飛行に伴うリスクの程度に応じて設定された3つのカテゴリー(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)ごとに異なります。
また、飛行許可や飛行承認を得るための申請手続きには、一定の流れがあり、必要な書類も定められていますが、ここでは、以下の3つの観点から、許可申請手続きの流れについて詳しく説明します。

  1. カテゴリー別の手続きの流れ
  2. 飛行許可・飛行承認申請の流れ
  3. 飛行許可・飛行承認申請に必要な書類

それぞれの観点について、図表を用いて視覚的にわかりやすく解説するとともに、注意点やポイントについても触れていきます。

ドローンを飛行させるには、そのリスクに応じて設定された3つのカテゴリー(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)ごとに、異なる手続きが必要です。

ここでは、機体購入から機体登録、機体認証、技能証明の取得、飛行許可及び承認の申請、飛行計画、飛行の実施、飛行日誌の記載、事故報告までの流れを、各カテゴリー別に図式化してご説明します。

手続きの流れ

カテゴリーⅢカテゴリーⅡカテゴリーⅠ
  • 第三者上空を補助者なしで目視外の飛行

・目視外飛行
・夜間飛行
・DID上空
・第三者30m未満
・イベント上空
・危険物輸送
・物件投下
・25kg以上
・空港周辺
・150m以上上空
・目視外飛行
・夜間飛行
・DID上空
・第三者30m未満
・その他
1.機体の購入
2.機体登録の申請
3.登録記号の発行
4.機体への登録記号の表示およびリモートIDの搭載
5.第一種機体認証
の取得
必須ではない5.第二種機体認証
以上の取得
不要
5.一等操縦技能証明
の取得
5.二等操縦技能証明
以上の取得
6.飛行許可・承認の申請不要
※カテゴリーⅡは安全な
運行管理体制を満たしていること
(安全確保措置)
7.飛行許可・承認の発行
8.飛行計画の通報(※カテゴリーⅠは推奨手続)
9.飛行の実施
10.飛行を実施した場合は飛行日誌の記載(※カテゴリーⅠは推奨手続)
11.事故等の報告
カテゴリー別の手続きの流れ
STEP
機体の購入

ドローンを飛行させるための第一歩は機体の購入です。適切なドローンを選定し、購入します。

STEP
機体登録の申請

購入後、ドローンを飛行させる前に機体登録が必要です。国土交通省に登録申請を行い、機体の情報を届け出ます。

STEP
登録記号の発行

機体登録が完了すると、登録記号が発行されます。この記号はドローンの識別に必要です。

STEP
機体への登録記号の表示およびリモートIDの搭載

発行された登録記号をドローンの機体に表示し、リモートIDを搭載します。リモートIDは、飛行中のドローンの位置情報を伝えるために必要です。

STEP
機体認証と操縦技能証明の取得

カテゴリー別に必要な認証と証明を取得します。

カテゴリーⅢ 第一種機体認証と一等操縦技能証明が必須
カテゴリーⅡ第二種機体認証以上と二等操縦技能証明以上の取得で飛行許可・承認が不要な場合あり
カテゴリーⅠ機体認証と操縦技能証明の取得は不要
STEP
飛行許可・承認の申請

必要に応じて、飛行許可や承認を申請します。カテゴリーⅢと一部のカテゴリーⅡの飛行には必須です。

STEP
飛行許可・承認の発行

申請が承認されると、飛行許可または承認が発行されます。

STEP
飛行計画の通報(※カテゴリーⅠは推奨手続)

飛行計画を関係機関に通報します。カテゴリーⅠの場合は推奨手続きですが、カテゴリーⅡとⅢでは必須です。

STEP
飛行の実施

許可を得た飛行計画に基づき、ドローンの飛行を実施します。ただし、他の法律や規制に抵触しないこと。

STEP
飛行日誌の記載(※カテゴリーⅠは推奨手続)

飛行後は飛行日誌に詳細を記載します。カテゴリーⅠでは推奨手続きですが、カテゴリーⅡとⅢでは必須です。

STEP
事故等の報告

もし飛行中に事故が発生した場合、速やかに航空局へ報告します。事故報告は全てのカテゴリーで必須です。

このように、ドローンを飛行させるためには、機体の購入から事故報告まで一連の手続きを順守する必要があります。カテゴリーごとの違いを理解し、適切な手続きを行いましょう。

次に、ドローンの飛行許可・飛行承認申請の流れについて各ステップによりご説明します。
(※ 飛行許可や承認の申請は,オンライン又は書面(郵送)で行うことができますが,原則,オンラインでの申請とされていますので,オンラインの申請を前提にご説明いたします。)

申請の流れ内 容
STEP 1:
DIPS2.0へのログイン
<初めての利用>
  • ドローン情報基盤システム(通称:DIPS2.0)を利用するための、アカウントを作成します。
<ログイン>
  • DIPS2.0のアカウントにログインします。(※飛行許可や承認の申請に先立ち、機体登録が必要です。)
<機能>
  • DIPS2.0では、新規申請、変更申請、更新申請、申請書の複製、申請書一覧の確認、申請状況確認、補正指示内容確認及び補正申請、申請の取り下げ、許可書のダウンロード、機体情報・操縦者情報の編集、旧システムで飛行許可・承認を受けた申請書の参照などの手続きが行えます。
STEP 2:
飛行許可・承認申請書の作成・提出
  • DIPS2.0で飛行許可・承認申請書を作成し、提出します。
<カテゴリーⅡ飛行の場合>
  • 空港等周辺、緊急用務空域及び地上又は水上から150m以上の高さの空域での飛行の場合は、東京空港事務所長に申請します(宮城県の場合)。
  • 上記以外の場合(人口集中地区の上空、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行、催し場所上空の飛行、危険物の輸送、物件投下を行う場合)は、東京航空局長に申請します(宮城県の場合)。
  • 申請先が複数にまたがる場合は、それぞれの提出先に申請する必要があります。
  • 「レベル3.5飛行」を行う場合は、事前に航空局(無人航空機安全課)への相談が必要です。
<カテゴリーⅢ飛行の場合>
  • 提出先は国土交通大臣となります。
STEP 3:
許可書の発行・確認
  • 申請書が承認されると、許可書がDIPS2.0内で発行されます。
  • 許可書の内容を確認します。
STEP 4:
飛行の実施と必要な対応
  • 飛行許可・飛行承認を受けた特定飛行を実施する際は、「飛行計画」の通報と「飛行日誌」の作成が必要です(カテゴリーⅠの場合は推奨)。
  • 特定飛行かどうかに関わらず、無人航空機に関する事故等が発生した場合は、救護義務及び当該事故の詳細を航空局へ報告する必要があります。

不明な点がある場合は、「無人航空機ヘルプデスク」(電話番号:050-3818-9961、平日9時00分〜17時00分(土日・祝・年末年始を除く))に問い合わせください。

ドローンの飛行許可や飛行承認を申請する際には、ドローンの安全性や操縦者の技能、飛行計画の妥当性などを評価するための様々な書類の提出が求められます。 申請に必要な書類は、飛行の内容や形態によって異なる場合がありますが、基本的には以下の10種類の書類を準備する必要があります。

1.無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書申請の基本情報を記載した書類です。
2.無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書ドローンの機能や性能が国の定める基準に適合していることを確認する書類です。
3.無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書操縦者の飛行経験や知識、技能を証明する書類です。(場合によっては省略可能です。)
4.飛行経路の地図ドローンを飛行させる経路を示した地図です。
5.無人航空機及び操縦装置の使用が分かる設計図又は多方面の写真ドローンと操縦装置の設計や構造を示す図面や写真です。(場合によっては省略可能です。)
6.無人航空機の運用限界及び無人航空機を飛行させる方法が記載された取扱説明書等の該当部分の写しドローンの運用限界や操作方法を示した取扱説明書の関連部分のコピーです。(場合によっては省略可能です。)
7.無人航空機の追加基準への適合性飛行形態に応じた追加の安全基準に適合していることを示す書類です。
8.無人航空機を飛行させる者一覧ドローンを操縦する全ての人の氏名や連絡先を記載した一覧表です。
9.申請事項に応じた飛行させる者の追加基準への適合性を示した資料操縦者が飛行形態に応じた追加の基準に適合していることを示す資料です。(場合によっては省略可能です。)
10.飛行マニュアルドローンを安全に飛行させるための手順や注意事項を定めたマニュアルです。(場合によっては省略可能です。)

これらの書類を漏れなく準備し、適切に記載することが重要です。
不明な点がある場合は、申請先の国土交通省航空局や地方航空局等に確認することをおすすめします。

7.飛行許可・承認申請書の提出時期

ドローンの飛行許可や承認の申請は、飛行開始予定日よりも十分余裕をもって行うことが重要です。国土交通省の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」によれば、申請書の提出時期は以下のように定められています。

カテゴリーⅡ飛行の申請書飛行開始予定日の10開庁日前(土日・祝日を除く)まで
カテゴリーⅢ飛行の申請書飛行開始予定日の20開庁日前(土日・祝日を除く)まで

国土交通省のホームページ上では、申請内容に不備があった場合には追加確認に時間を要し、飛行予定日までに許可・承認が得られないこともあるため、「飛行開始予定日から3~4週間程度、十分な余裕をもって申請を頂きますようお願いします」と記載されています。
さらに、初めて申請する場合は、上記の日程以外にも機体登録に要する日数(オンライン申請で2~10開庁日程度)が必要となります。

したがって、特に初めての申請の場合は、飛行開始予定日の1か月前程度を目安に、十分余裕をもって申請手続きを開始することをおすすめします。これにより、万が一申請内容に不備があった場合でも、修正や追加提出の時間的猶予を確保できます。

また、申請内容が複雑な場合や、繁忙期などは審査に通常よりも時間がかかる可能性があるため、できる限り早めに申請を行うことが賢明です。

円滑にドローンを飛行させるためには、必要な手続きを適切なタイミングで行うことが不可欠です。飛行開始予定日から逆算して、余裕をもった申請スケジュールを立てるようにしましょう。

8.飛行許可・承認の有効期間

飛行許可や承認の有効期間は、申請の種類によって異なります。

包括申請の場合
  • 包括申請の有効期間は最大で1年間です。包括申請が承認された場合、申請者は1年間にわたって、申請内容の範囲内で繰り返しドローンを飛行させることができます。
  • 包括申請は、同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合や、継続的に飛行を行う場合に適しています。
個別申請の場合
  • 個別申請は、特定の期間や飛行範囲(経路)を指定して行う申請です。
  • 個別申請の有効期間は、申請時に指定した許可期間と同じになります。例えば、申請者が「2023年6月1日から3日間、A地点からB地点までの経路で飛行させたい」と申請し、承認された場合、その許可の有効期間は2023年6月1日から3日間のみとなります。

飛行許可や承認の有効期間は、申請内容や目的に応じて適切に設定することが重要です。有効期間内であっても、飛行の条件や状況に変更があった場合は、改めて変更申請を行う必要があります。ドローンを飛行させる際には、飛行許可や承認の有効期間と機体登録の有効期間の両方を確認し、必要に応じて更新手続きを行うことが求められます。

注意すべき点として、機体登録の有効期間は飛行許可や承認の有効期間とは異なることがあります。機体登録の有効期間は、登録記号が発行された日から3年間です。
たとえ飛行許可や承認の有効期間内であっても、機体登録の有効期間が切れてしまうと、ドローンを飛行させることはできません。したがって、機体登録の有効期限にも十分な注意が必要です。

包括申請と個別申請の使い分けや、それぞれの有効期間については十分理解しておく必要があります。包括申請は長期的かつ広範囲での飛行に適していますが、飛行条件に制限がかかる場合があります。
一方、個別申請は特定の飛行に限定されますが、より難易度の高い飛行が可能となります。

飛行目的や場所、期間などを考慮して適切な申請方法を選択し、有効期間内に飛行を行うことが重要です。
また、機体登録の有効期限にも注意を払い、必要に応じて更新手続きを行いましょう。

9.その他、気をつけなければならないこと

ドローンを飛行させる際は、航空法に基づく飛行許可や承認の取得以外にも、様々な法令や条例等に注意を払う必要があります。以下は、主な注意点です。

小型無人機等飛行禁止法
(警察庁)
  • 重要施設やその周囲おおむね300m周辺地域の上空は飛行が禁止されています。
  • 100g未満のドローンも規制の対象となります。
  • 宮城県では、東北電力株式会社女川原子力発電所、各自衛隊駐屯地・基地が規制の対象です。
ドローン等に求められる無線設備
(総務省)
  • ドローンに搭載する無線設備に関する規制があります。
ドローンによる映像撮影等のインターネット上での取り扱い(総務省)
  • ドローンで撮影した映像をインターネット上で公開する際の注意点等が定められています。
無人航空機の飛行を制限する条例等
  • 地方公共団体が定める条例等により、飛行が禁止または制限されている場所や地域があります。
(注)当該図は,警察庁のホームページから引用
  • 道路交通法:公道でドローンを離発着させると道路交通法違反となります。公道上での離発着には道路使用許可が必要です。
  • FPV(ファースト・パーソン・ビュー)飛行を行う場合は、アマチュア無線4級以上の資格取得と無線局の開設申請が必要です。
    • FPVとは、ドローンに搭載されたカメラの映像を操縦者がリアルタイムで見ながら飛行させる操縦方法のことを指します。

これらの規制の対象となる機体は、航空法上の「無人航空機」とは定義が異なる場合があるため注意が必要です。
ドローンを飛行させる際は、航空法だけでなく、これらの関連法令や条例等についても十分に理解し、必要な手続きを行うことが重要です。
不明な点がある場合は、各法令や条例等の所管省庁や地方公共団体に問い合わせることをおすすめします。
事前の確認と準備を怠らず、安全と法令遵守を心がけることが、ドローンを適切に運用するために不可欠です。